構造関係規定(法第20条関係)の4号特例については、4号建築物であっても適用する構造基準や構造方法によって適用できない場合がありますので本記事で詳しく解説します。
4号特例について
4号特例(全般)については以下の記事で解説しています。

構造規定の4号特例の概要
構造関係規定(法第20条関係)の4号特例の条件が2つあります。
【条件1】通常の仕様規定満たす(法第20条第1項第4号イを適用する)建築物であること。
【条件2】「特殊な構造方法(令第80条の2)」については【条件1】に加え、構造方法がプレストレストコンクリート造、壁式鉄筋コンクリート造、型枠壁工法・木質プレハブ工法、アルミニウム合金造で各告示仕様規定部分を満たす構造であること。
【条件1】と「特殊な構造方法(令第80条の2)」については、さらに【条件2】を満たすことで構造関係規定(法第20条関係)を特例対象とすることができます。
特例対象ということは、建築確認において審査対象外で、図書添付も不要となります(規則第1条の3第5項第2号)
【条件1】法第20条第1項イ
法第20条第1項イを適用する建築物でなければなりません。
条文を確認(令第10条第3号)
令第10条第三号イ・ロ(第四号イ・ロ)に特例対象の規定が具体的に規定されています。法第20条を含む法の対象規定については令第10条第三号イ(第四号イ)に規定されています。
令第10条 省略
第一号、第二号 省略
第三号 省略
イ 法第20条(第1項第四号イに係る部分に限る。)、法第21条から法第25条まで、法第27条、法第28条、法第29条、法第31条第1項、法第32条、法第33条、法第35条から法第35条の3まで及び法第37条の規定
ロ 次章(第20条の3、第1節の3、第32条及び第35条を除く。)、第3章(第8節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第119条、第5章の4(第129条の2の4第1項第六号及び第七号並びに第2節を除く。)及び第144条の3の規定
ハ 省略
第四号 省略
法第20条(構造関係規定)は第20条第1項第4号イを適用する場合に限り特例対象となります。政令においても令第3章(構造関係規定)のうち令第3章第8節(構造計算基準)は除かれます。
※令第10条の第三号と第四号の違いは戸建て住宅か戸建て住宅でないかの違いで、構造関係規定については第三号と第四号で違いはありません。
「法第20条第1項第4号イ」とは
ここで少し、4号建築物の構造規定の適用についての基本事項を解説します。第20条(構造関係規定)の4号特例を正しく理解するためにとても重要です。
4号建築物の構造関係規定については、法第20条第1項第4号イまたは法第20条第1項第4号ロのいずれかの規定を適用しなければなりません。
法第20条第1項第4号ロを適用するということは通常、中・大規模以上の建築物に適用される保有水平耐力計算などを行う上位の構造基準を適用するということになります。この場合は4号建築物4号特例を適用することができません。
上位の構造基準を適用する理由
あえて上位の構造基準を適用する理由は、水平耐力計算などの構造計算をすることで一部の仕様規定を除外することがでるからです。このため、小規模建築物(4号建築物)においてもあえて保有水平耐力計算など上位の構造基準を適用することがあります。


【条件2】特殊な構造方法(法第80条の2)
条文を確認(令第10条第3号)
令第10条第三号イ・ロ(第四号イ・ロ)に特例対象の規定が具体的に規定されています。令第80条の2の「特殊な構造方法」を含む政令の対象規定についてはロに規定されています。
令第10条 省略
第一号、第二号 省略
第三号 省略
イ 省略
ロ 次章(第20条の3、第1節の3、第32条及び第35条を除く。)、第3章(第8節を除き、第80条の2にあつては国土交通大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうちその指定する基準に係る部分に限る。)、第119条、第5章の4(第129条の2の4第1項第六号及び第七号並びに第2節を除く。)及び第144条の3の規定
ハ 省略
第四号 省略
令第10条第三号ロ(第四号ロ)に基づき4号特例を適用できる「特殊な構造方法」がH19国交告第1119号で示されています。
H19国交省告示第1119号 建築基準法施行令第10条第三号ロ及び第四号ロの国土交通大臣の指定する基準を定める件
本文省略
第一号 昭和58年建設省告示第1320号第1から第12まで
第二号 平成13年国土交通省告示第1026号第1から第8まで
第三号 平成13年国土交通省告示第1540号第1から第8まで
第四号 平成14年国土交通省告示第410号第1から第8まで
具体的には以下の構造方法です。
第一号 プレストレストコンクリート造
第二号 壁式鉄筋コンクリート造
第三号 型枠壁工法・木質プレハブ工法
第四号 アルミニウム合金造
特殊な構造方法について
法20条(構造関係規定)ついては、構造方法により適用される規定が異なります。
建築基準法において構造方法は、一般的な構造方法として令第3章第3節〜第7節までにで規定されているものと、特殊な構造方法として令第80条の2に基づき告示で示されたものがあります。
そして、この令第80条の2に基づく特殊な構造方法については、プレストレストコンクリート造、壁式鉄筋コンクリート造、型枠壁工法・木質プレハブ工法、アルミニウム合金造の4つの構造方法だけが特例対象です。
まとめ
【条件1】通常の仕様規定満たす(法第20条第1項第4号イを適用する)建築物であること。
【条件2】「特殊な構造方法(令第80条の2)」については、構造方法がプレストレストコンクリート造、壁式鉄筋コンクリート造、型枠壁工法・木質プレハブ工法、アルミニウム合金造で各告示仕様規定部分を満たす構造であること。
