法令集が手元にある方は、法令集を読みながら解説を読み進めると理解が深まります。
- 許容応力度等計算は、5つある構造計算基準のひとつで、通称ルート2と言われる構造計算基準です。(令第81条)
- 許容応力度等計算は、31m以下の建築物に適用できる構造計算基準(令第81条第2項第2号イ)
- 1次設計に加え、構造的なバランスや地震時の安全性確保のための計算で構成されている。(令第3章第8節第1款の4)
- 許容応力度等計算をしても全ての仕様規定が適用される。(令第36条第2項第三号)
- 許容応力度等計算すると、構造適判の省略をすることもできる。(令第6条の3第1項)
許容応力度等計算(ルート2)の位置付け
許容応力度等計算は通称「ルート2」と言われる構造計算基準で、次の5つある構造計算基準のひとつです。
構造計算方法 | 条項 |
---|---|
時刻暦応答解析 | 法第20条第1項第1号 →令第81条第1項 |
限界耐力計算 | 法第20条第1項第2号イ →令第81条第2項第1号ロ |
保有水平耐力計算 (ルート3) | 法第20条第1項第2号イ →令第81条第2項第1号イ |
許容応力度等計算 (ルート2) | 法第20条第1項第2号イ →令第81条第2項第2号イ |
許容応力度計算 (ルート1) | 法第20条第1項第3号イ →令第81条第3項 |
適用できる建築物
許容応力度等計算(ルート2)を適用できる建築物の規模による制限は「高さ31m以下であること」のひとつです。(令第81条)
許容応力度等計算の構造計算基準
許容応力度等計算(ルート2)の計算基準は、令第82条の6(令第3章第8節第1款の4)に定められており、次のとおりです。
計算基準 | 条項 | 1次設計 または 2次設計 |
---|---|---|
許容応力度計算 | 令第82条の6第1号 (令第82条第1〜3号) | 1次設計 |
使用上の支障が起こらないことの確認 | 令第82条の6第1号 (令第82条第4号) | 1次設計 |
屋根ふき材等の構造計算 | 令第82条の6第1号 (令第82条の4) | 1次設計 |
層間変形角の確認 | 令第82条の6第1号 (令第82条の2) | 2次設計 |
剛性率の確認 | 令第82条の6第2号イ | 2次設計 |
偏心率の確認 | 令第82条の6第2号ロ | 2次設計 |
その他地震に対し安全であることの確認 | 令第82条の6第3号 (S55建告第1791号) | 2次設計 |
1次設計に加え、2次設計として4つの計算が定められています。そのうち、層間変形角、剛性率、偏心率は建築物の構造的なバランスを考慮するための計算基準で、その他地震に対して安全であることの確認は、具体的な計算基準は構造種別ごとにS55建告第1791号に定められています。(木造、鉄骨造、RC造、SRC造のみ)
剛性率、偏心率、その他地震に対し安全であることの確認ついては改めて解説を作成する予定です。
仕様規定の適用
適用する構造計算基準によっては、令第3章第1節から第7節の2に定めらている技術的基準(いわゆる仕様規定)の一部を省略することができます。
許容応力度等計算(ルート2)については、全ての仕様規定を満たす必要があります。(令第36条第2項第3号)
構造計算基準 | 仕様規定の適用 |
---|---|
時刻暦応答解析 (令第81条第1項) | 耐久性等関係規定 (令第36条第1項) |
限界耐力計算 (令第81条第2項第1号ロ) | 耐久性等関係規定 (令第36条第2項第2号) |
保有水平耐力計算:ルート3 (令第81条第2項第1号イ) | 耐久性等関係規定+α(※) (令第36条第2項第1号) |
許容応力度等計算:ルート2 (令第81条第2項第2号) | 全ての仕様規定 (令第36条第2項第3号) |
許容応力度計算:ルート1 (令第81条第2項第2号) | 全ての仕様規定 (令第36条第3項) |
構造計算不要 (法第20条第1項第4号) | 全ての仕様規定 (令第36条第3項) |
構造適判の省略
許容応力度等計算(ルート2)は、法第6条の3第1項により、原則、建築確認申請の際に構造計算適合性判定を受けなければなりませんが、ルート2については審査する者が「構造計算に関する高度の専門知識及び技術を有する者」の場合、構造計算適合性判定を省略することができます。
「構造計算に関する高度の専門知識及び技術を有する者」については、通称「ルート2主事」と言われ、「特定構造計算適合性判定資格者講習会の修了者」など具体的に規則第3条の13に定められています。
▶︎ 「特定
まとめ
さいごに、今回の解説のまとめです。(本解説の冒頭と同じです)
- 許容応力度等計算は、5つある構造計算基準のひとつで、通称ルート2と言われる構造計算基準です。(令第81条)
- 許容応力度等計算は、31m以下の建築物に適用できる構造計算基準(令第81条第2項第2号イ)
- 1次設計に加え、構造なバランスや地震時の安全性確保のための計算で構成されている。(令第3章第8節第1款の4)
- 許容応力度等計算をしても全ての仕様規定が適用される。(法第20条第2項第三号)
- 許容応力度等計算すると、構造適判の省略をすることもできる。(令第6条の3第1項)
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