構造耐力に関する規定は規模・構造種別によって適用される基準が異なります。
法20条で規定されています。
法20条は具体的な規定がでてくるわけではありません。規模・構造種別によって適用される基準が示されています。
法20条の構造耐力に関する規定は、一般に構造規定、構造耐力規定、構造耐力関係規定と言われます。この解説では防火規定に出てくる「防火規定に関する構造」とわけるため構造耐力規定または構造耐力関係規定とします。
法20条の構成
「規模・構造種別によって」というのが法20条1項各号ごとに「建築物の区分」が規定されています。
そして各号の建築物の区分ごとに適用される基準が規定されています。
適用される基準は仕様規定(技術的基準)と構造計算基準(構造計算方法)の大きく2つの規定があります。
具体的に法20条1項二号の条文の構成は以下のようです。
少し長いですがグレー部分が建築物の区分です。グレー部分のあとの水色部分が適用される基準です。二号についてはイまたはロのどちらかの基準に従わなければなりません。
建築物の区分
建築物の区分は規模、構造種別よって一号から四号の4つに区分されます。
建築物の高さ、法6条区分、構造方法(S造、RC造など)などによって区分されます。
一号が超高層建築物と言われる高さ60m超の建築物です。二号から四号になるにつれ、小規模な建築物になります。
法6条区分については以下で解説しています。ぜひご覧ください。
建築物の区分に応じた基準
上記でも解説しましたが、構造耐力関係規定に関する基準は大きく2つに分けられます。
仕様規定と構造計算基準です。
仕様規定とは、
仕様規定とは律の基準が仕様として定められた規定です。令3章2節~7節の2までに規定されています。
例:コンクリートの四週圧縮強度は14kN/mm2としなければならい。
構造計算基準は5つの構造計算方法があります。
5つの構造計算方法
- 時刻歴応答解析(法20条1項一号)
- 限界耐力計算(法20条1項二号)
- 保有水平耐力計算(法20条1項二号)
- 許容応力度等計算(法20条1項二号(高さ31m以下))
- 許容応力度計算(法20条1項三号)
上記の①に近いほど、高度な構造計算方法です。規模が大きな建築物ほど高度な構造計算方法が求められます。
ただ、高度な構造計算方法は簡易な構造計算方法を包含する関係にはありません。
よって、構造設計では、小規模な建築物であっても簡易な構造計算方法の基準を満足しないため、あえて高度な構造計算をおこなうといったことも行われています。
例えば、ルート2では、偏心率、剛性率などの規定であります。建築物の構造上のバランスを考慮した規定ですが、ルート3においては偏心率、剛性率の規定は適用されません。よって、高さ31m以下の必ずしも保有水平耐力計算が求められない建築物であっても、あえて保有水平耐力計算を計算を行うといったことがあります。
仕様規定と構造計算基準の関係
建築物の規模が大きくなるほど高度な構造計算方法が求められます。
その代わりに適用される仕様規定は少なくなります。
よって構造設計では、小規模な建築物であってもあえて高度な構造計算方法を採用することで仕様規定の一部を適用除外とするといったことも行われています。
構造計算基準と手続きの関係
高度な構造計算を行うと建築確認の手続きが少し面倒になります。
建築確認において、構造に関係する手続きとして大臣認定、構造適判があります。
建築基準法においてもっとも高度な構造計算方法である時刻歴応答解析は建築確認の前に国交大臣の認定(大臣認定)を取得する必要があります。大臣認定はかなり面倒です。小規模な建築物が時刻例規応答解析で大臣認定を受けることはめったにないように思います。
時刻歴応答解析、ルート3、ルート2については建築確認済証が交付される前に構造適判の適合通知を受ける必要があります。
時刻歴応答解析、ルート3、ルート2のうち比較的簡易な構造計算方法であるルート2については建築確認において構造設計1級建築士などの資格が審査を行うことで構造適判を省略することができます。
さいごに
今回は構造耐力関係規定(法20条)の構成について解説しました。建築物の区分に応じて、適用される基準(仕様規定と構造計算方法)が異なること、さらに建築確認に伴う手続きも変わっきます。
よって、建築物が法20条1項の度の区分に該当するのかを適切に判断することとても重要です。
私が参考にしている本
私がいつも参考にしている本です。表や図が多くわかりやすい内容ですが建築基準法に不慣れな方にとってはまだまだ専門用語が多く理解に苦しむ方も多いと思います。もちろん私もその一人です。本サイトがそういった方に建築基準法やこれらの参考書との架け橋としての役割を担っていけば幸いです(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ペコ