【1】制度規定

【建築基準法の基本がわかる】6条区分とは(令和7年4月1日〜)

6条区分(ブログサムネ)

この解説では次の疑問に答えます!!

  • 6条区分とは何か?
  • 6条区分はどのように区分けされるか?
  • 6条区分によってなにが変わるか?
  • 令和7年4月1日から6条区分がかわる!

6条区分とは

6条区分とは、「法第6条第1項第1号〜3号の区分け」のことです。法第6条第1項1号に該当する建築物を通称「1号建築物」といい、法第6条第1項2号に該当する建築物を通称「2号建築物」といい、法第6条第1項3号に該当する建築物を通称「3号建築物」といいます。また、1号〜3号のどれにも該当しない建築物(ここでは「その他建築物」とします)もあります。

条項6条区分(通称)
法第6条第1項第1号1号建築物
法第6条第1項第2号2号建築物
法第6条第1項第3号3号建築物
1号から3号のいずれにも該当しないその他建築物

令和7年4月1日の改正前までは「1号・2号建築物」といったような、複数の号に該当する建築物もありましたが、改正後はなくなりシンプルな区分けになりました。

6条区分の区分け

6条区分の区分けをする要件としては、①建築物の用途(とその部分の床面積)、②規模(延べ面積、階数)、③建築場所(都市計画区域等の内外)で以下のように区分けされます。

法6条区分要件
1号建築物別表第1(い)欄の特殊建築物で、
その用途部分の床面積の合計が200m2の建築物
2号建築物1号に該当しないで、
階数2以上 または 延べ面積200m2の建築物
3号建築物都市計画区等内1号、2号のいずれにも該当しない建築物
その他建築物第1号〜第3号のいずれにも該当しない建築物
(= 都市計画区域等外で、1号、2号のいずれにも該当しない建築物)

ここでいう「都市計画区域等」とは、

  • 都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)
  • 準都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)
  • 景観法第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)
  • 都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内

6条区分の例

6条区分による建築物の分類

6条区分は(1号建築物、2号建築物、3号建築物、その他建築物)以下のルート表で区分けできます。

6条区分の区分けルート

6条区分によって変わること

6条区分によって確認申請の手続きや適用される規定の内容がことなることがあります。

  • 確認申請の要否が変わる
  • 確認申請の審査省略の特例の適用の可否がかわる
  • 構造計算の要否が変わる

確認申請の要否(法第6条)

6条区分によって、建築(新築、増築、改築、移転)大規模修繕・大規模模様替時の確認の要否が変わります。

確認申請の要否
6条区分建築時の確認申請
(法6条)
大規模修繕・模様替時の確認申請
(法6条)
新3号特例
(法6条の4)
1号建築物必要必要適用不可
2号建築物必要必要適用不可
3号建築物必要不要適用可
その他建築物
(1〜3号に非該当)
不要不要

建築(法第2条第13号)についての解説はこちら(大規模修繕・模様替との違いも解説しています。)

また、建築物の用途変更をする場合、用途変更する部分を法第6条第1項第1号の特殊建築物とする場合に、確認申請が必要になります。(類似の用途などの緩和あり)

確認の特例(法第6条の4)

3号建築物は、法6条の4第1項第3号により確認申請時に一部の規定の審査(確認)を省略することのできる確認の特例(新3号特例)を適用することができます。審査を省略することのできる規定に関する図面の添付も不要となります。

また、審査を省略できる規定は法第6条の4第2項により令第10条第4号に定められています。

審査省略できる規定は、審査が省略できるだけで、基準が緩和される(適用されなくなる)わけではありません。

6条区分による構造計算の要否(法第20条)

1号建築物・2号建築物は構造計算が必須です。ただし、次のすべてを満たす木造建築物については、原則、構造計算が不要です。

  • 延べ面積300m2以下
  • 高さ16m以下
  • 階数2以下

1号建築物・2号建築物以外の建築物(=3号建築物・その他建築物)は、次に該当する建築物以外の建築物は、原則、構造計算不要です。

  • 高さ20m超の鉄筋コンクリート造
  • 高さ16m超の木造建築物
  • 高さ20m超のRC・SRC混構造
  • 高さ16m超の木造・組積造・補強CB造・S造のうち2以上の混構造建築物
  • 高さ16m超の木造・組積造・補強CB造・S造のうち1以上とRC造またはSRC造の混構造建築物
  • 令第36条の2の各号のいずれかに該当する建築物

「原則、構造計算が不要」な建築物であっても構造計算が必要となる場合もあります。

6条区分の改正

令和7年4月1日の改正により、法6条第1項各号はこれまで1〜4号で構成されていましたが、旧2号、旧3号の規模(延べ面積、高さ、階数)による区分が木造(旧2号)・非木造(旧3号)で分かれていたのが木造・非木造に関わらず同じ基準となって2号にまとめられましたそれに合わせて改正前の4号は3号となりました。この改正により、非木造については大きな変更はありませんが、木造については旧4号に分類されていた2階建の戸建て住宅などが新2号に分類されることにより、法第6条の4第1項第3号で定めらている小規模建築物による確認の特例(新3号特例が適用できなくなります

構造耐力について、法第20条が改正され構造計算が必要となるケースも出てきます。

非木造

非木造については、改正前の3号は改正後2号になり、改正前の4号は改正後3号となりますが、確認申請の要否審査の特例(新3号特例)を適用できる建築物の範囲は変わりません。構造計算の要否(法第20条)についても新3号建築物(旧4号建築物)は、原則、構造計算が不要です。

6条区分(非木造)

木造

木造については、改正前の2号は改正後2号になりますが、改正前の4号は規模によって改正後2号または3号となります。改正前4号の建築物が改正後2号の建築物になると、これまで確認申請が不要であった大規模修繕・模様替時の確認申請が必要となり、審査の特例(新3号特例)も適用できなくなります。また、300m2超または高さ16m超または階数3以上で構造計算の必要となるなど大きく手続きや実体規定適用がかわるので注意が必要です。

6条区分(木造)

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