本記事は法第6条の法文の読解に特化した解説です。

確認申請が必要な場合(第1項)
第1項の条文構成と概要
法第6条第1項本文は、前段と後段の2つの条文で構成されています。
前段は建築時の確認申請についての規定で、後段は前段で確認を受けた建築物の(工事完了前までに)計画の変更があった時の計画変更の確認申請についての規定です。
第1項の条文
- 青字、赤字 の斜体は条文を読みやすくするために追加しています。(原文にはありません)
- 長い条文の ピンクマーカー は主語・述語などのつながり表しています。(まずは、ピンクマーカー部分だけを読んでみてください)
- 一つの条文が複数の文章で構成されている場合は、// でひとつの文章の区切っています。
- 条文の全体を把握しやすくるため(カッコ内ははグレー)にしています。(かっこ内も重要ですが、まずは条文の全体を把握することが大切です)
- 接続詞が何を接続しているか 番号①、②… と 下線 でわかりやすくしています。(接続詞が何と何を接続詞しているかを間違えると間違って理解してしまいます)
- 水色マーカー は否定の文章を表しています。
- 太字 は重要な用語などを表しています。
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
法第6条第1項 建築主は、① 第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号又は第二号に規定する規模のものとなる場合を含む。)、② これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合 又は ③ 第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるもの(←令第9条)をいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)の確認(建築副主事の確認にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。以下この項において同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。 // 当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、① 第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号又は第二号に規定する規模のものとなる場合を含む。)、② これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合 又は ③ 第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
第一号 ① 別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物 で、 ② その用途に供する部分の床面積の合計が200m2を超えるもの
第二号 前号に掲げる建築物を除くほか、① 2以上の階数を有し、 又は ② 延べ面積が200m2を超える建築物
第三号 前二号に掲げる建築物を除くほか、① 都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成16年法律第110号)第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内 又は ② 都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
第1項の条文解説
【前段部分】確認申請が必要な場合
建築主は、次の「①、② 又は ③」においては、工事着手前に建築基準関係規定に適合することについて建築主事等に確認申請をして、建築主事等の確認を受けて確認済証の交付を受けなければならりません。
① 第1号または第2号建築物を建築しようとする場合 (増築によりで第1号または第2号建築物になる場合も含む) |
② 第1号または第2号建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合 |
③ 第3号建築物を建築しようとする場合 |
建築基準関係規定 とは次の①と②
① 建築基準法令の規定 |
② その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で令第9条で定めるもの |

建築基準法令の規定 とは
この法律(建築基準法、建築基準法施行令)並びにこれ(建築基準法)に基づく命令(建築基準法施行規則)及び条例の規定 |
建築主事等 とは
「建築主事または建築副主事」とのこと |
※ 建築副主事が確認できるのは大規模建築物以外の建築物に限る。(→法第4条) ※ 大規模建築物とは、建築士法第3条第1項各号に掲げる建築物のことであり1級建築士でなければ設計・工事監理できない建築物のこと |
【後段部分】計画変更で確認申請が必要な場合
確認を受けた後、建築物の計画を(工事中に)変更する場合も「①、② 又は ③」においても工事着手前に建築基準関係規定に適合することについて確認申請をして、建築主事等の確認を受けて確認済証の交付を受けなければなりません。
① 第1号または第2号建築物を建築しようとする場合(増築によりで第1号または第2号建築物になる場合も含む) |
② 第1号または第2号の建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合 |
③ 第3号建築物を建築しようとする場 |
確認申請が不要な場合(第2項)
防火地域・準防火地域以外の地域で、増築・改築・移転で床面積10m2以内の場合は、法第6条第1項は適用されず、確認申請が不要です。
第2項 前項の規定は、①防火地域及び②準防火地域外において建築物を①増築し、②改築し、又は③移転しようとする場合で、その①増築、②改築又は③移転に係る部分の床面積の合計が10m2以内であるときについては、適用しない。
確認申請が受理できない場合(第3項)
建築主事等は、法第6条第1項の確認申請が設計者の資格要件を満たしていないなど1号から3号に該当する場合は、確認申請を受理することができません。
第3項 建築主事等は、第1項の申請書が提出された場合において、その計画が次の各号のいずれかに該当するときは、当該申請書を受理することができない。
第一号 建築士法第3条第1項、第3条の2第1項、第3条の3第1項、第20条の2第1項若しくは第20条の3第1項の規定又は同法第3条の2第3項の規定に基づく条例の規定に違反するとき。
第二号 構造設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第20条の2第1項の建築物の構造設計を行つた場合において、当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。
第三号 設備設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第20条の3第1項の建築物の設備設計を行つた場合において、当該建築物が設備関係規定に適合することを設備設計一級建築士が確認した設備設計によるものでないとき。
確認済証の交付(第4項)
建築主事等は、建築確認の申請を受付したら、法第6条第1項第一号と第二号建築物は35日以内に審査し、適合確認できたら確認済証を交付しなければなりません。
法第6条第1項第三号建築物の審査については、7日以内に審査し、適合確認できたら確認済証を交付しなければなりません。
第4項 建築主事等は、第1項の申請書を受理した場合においては、①同項第一号又は第二号に係るものにあつてはその受理した日から35日以内に、 ②同項第三号に係るものにあってはその受理した日から7日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。
構造適判が必要な場合(第5項)
建築主事等は、構造計算適合性判定(法第6条の3)が必要な場合、適合判定通知書(またはその写し)提出を受けた場合だけ、確認済証の交付をすることができます。
第5項 建築主事等は、前項の場合において、申請に係る建築物の計画が第6条の3第1項の構造計算適合性判定を要するものであるときは、建築主から同条第7項の ①適合判定通知書 又は ②その写しの提出を受けた場合に限り、第1項の規定による確認をすることができる。
審査期間の延長(第6項)
建築主事等は、特定構造計算基準(①限界耐力計算、②保有水平耐力計算(ルート3)、③許容応力度等計算(ルート2)の令第81条で定める基準)の構造計算の審査を要する場合で、合理的な理由がある場合に限り、建築確認の審査期間を35日延長することができます。
延長する場合は、申請者に延長する旨の通知書を交付しなければなりません。
第6項 建築主事等は、第4項の場合(申請に係る建築物の計画が第6条の3第1項本文に規定する特定構造計算基準(第20条第1項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによって確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合 ②その他国土交通省令で定める場合 に限る。)において、第4項の期間内に当該申請者に第1項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、35日の範囲内において、第4項の期間を延長することができる。 // この場合においては、 ①その旨 及び ②その延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。
※特定構造計算基準でも大臣認定プログラムによって構造計算をしたものは審査期間の延長ができません。
適合しない旨等の通知(第7項)
建築主事等は、建築確認の申請が「 ① または ② 」の場合は、その旨とその理由を記載した通知書を申請者に交付しなければなりません。
① 建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき |
② 建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるとき |
第7項 建築主事等は、第4項の場合において、申請に係る建築物の計画が① 建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、 又は ② 建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期間(前項の規定により第4項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該申請者に交付しなければならない。
事前着工の禁止(第8条)
確認申請が必要な工事は、確認済証の交付を受けた後でなければ着手できません。
第8項 第1項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の ①建築、②大規模の修繕又は ③大規模の模様替の工事は、することができない。
確認申請関係の様式(第9項)
申請書等の様式は、国土交通省令(建築基準法施行規則)で定められています。
第1項 | 確認申請書 | 規則第1条の3 第2号様式 |
第1項 | 確認済証 | 規則第2条 第5様式 |
第6項 | 審査期間の延長通知・適合できない旨の通知 | 規則第2条 第5号の2様式 |
第7項 | 適合することが決定できない旨の通知 | 規則第2条 第6号様式 |
第9項 ①第1項の規定による確認の申請書、②同項の確認済証 並びに ③第6項及び第7項の通知書の様式は、国土交通省令で定める。
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