【4】構造耐力関係規定

【法文読解】法第20条(R7.4.1法改正対応)

ブログサムネ(法20条構造耐力関係規定法文読解)

本記事は法第20条の法文の読解に特化した解説です。

6条区分(ブログサムネ)
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「区分」と「区分に応じた基準」(第1項)

第1項の条文構成と概要

法第20条では、建築物の構造耐力関係規定の適用について、4つの建築物の区分を定め、その区分に応じた基準が定められています。この区分は通称「20条区分」と言われます。

第1項の条文

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(構造耐力)

第20条第1項 建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。


第一号 高さが60mを超える建築物 // 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準(←令第36条第1項)に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準(←令第82条第1項)に従った構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。

第二号 高さが60m以下の建築物のうち、木造の建築物(地階を除く階数が4以上であるもの又は高さが16mを超えるものに限る。) 又は 木造以外の建築物(地階を除く階数が4以上である鉄骨造の建築物、高さが20mを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物(←令第36条の2)に限る。) // 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。

 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準(←令第36条第2項)に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によって建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令定める基準(←令第82条第2項)に従った構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの 又は 国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるもの によって確かめられる安全性を有すること。

 前号に定める基準に適合すること。

第三号 高さが60m以下の建築物(前号に掲げる建築物を除く。)のうち、第6条第1項第一号又は第二号に掲げる建築物(木造の建築物にあつては、地階を除く階数が3以上であるもの 又は 延べ面積が300m2を超えるものに限る。) // 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。

 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準(←令第36条第3項)に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準(←令第82条第3項)に従った構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの 又は 国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるもの によって確かめられる安全性を有すること。

 前二号に定める基準のいずれかに適合すること。

第四号 前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。


 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準(←令第36条第2項)に適合すること。

 前三号に定める基準のいずれかに適合すること。

第1項の条文解説

建築物を4つ区分(20条区分)に分け、この20条区分に応じて適用される基準が定められています。

基準は、技術的基準(仕様規定)構造計算基準の2つあり、構造計算基準については安全の確認方法について定めれています。

20条区分の区分け
20条区分条件①
(高さ)
条件②
(その他)
第1号60m超
第2号60m以下以下の①〜⑥のいずれかに該当
①地階除く階数4以上の木造
②高さ16m超の木造
③地階除く階数4以上の鉄骨造
④高さ20m超の鉄筋コンクリート造
⑤高さ20m超の鉄骨鉄筋コンクリート造
⑥その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物(→令第36条の2の各号)
第3号60m以下6条区分が第1号または第2号区分の建築物で木造建築物は地階を除く階数3以上または延べ面積300m2(20条区分が第2号区分の建築物は除く
第4号60m以下20条区分が第1号、第2号、第3号以外の建築物

20条区分に応じた基準
20条区分構造計算基準仕様規定その他
1号時刻歴応答解析
(→ 令第81条第1項)
仕様規定のうち 耐久性等関係規定
(→ 令第36条第1項)
2号〜4号区分の建築物も適用できる
2号-①
(31m超)
限界耐力計算
(→ 令第81条第2項第1号ロ)
仕様規定のうち 耐久性等関係規定
(→ 令第36条第2項第1号)
2号-②、③〜4号区分の建築物も適用できる
2号-②
(31m超)
保有水平耐力計算
(→ 令第81条第2項第1号イ)
耐久性等関係規定
耐久性等関係規定以外の一部の仕様規定
(→ 令第36条第2項第2号)
2号-③〜4号区分の建築物も適用できる
2号-③
(31m以下)
許容応力度等計算
(→ 令第81条第2項第2号イ)
全ての仕様規定
(→ 令第36条第2項第3号)
3号〜4号区分の建築物も適用できる
3号許容応力度計算
(→ 令第81条第3項)
全ての仕様規定
(→ 令第36条第3項)
4号区分の建築物も適用できる
4号ー(構造計算不要)全ての仕様規定
(→ 令第36条第3項)

構造計算基準に応じた安全の確認方法
20条区分構造計算基準安全の確認方法
第1号時刻歴応答解析大臣の認定
第2号・限界耐力計算
・保有水平耐力計算
・許容応力度等計算
大臣が定めた方法(→ H19国交告第592号)
または
大臣認定プログラム
第3号許容応力度計算大臣が定めた方法(→ H19国交告第592号)
または
大臣認定プログラム

「構造別棟」の時の第1項の適用(第2項)

本来、法第20条第1項の適用上1の建築物(通称「意匠上1棟」)であっても、エキスパンションジョイント(EXPJ)などで2以上に構造上分離されていれば、その部分ごとに法第20条第1項を適用することができる。

第2項 前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分(←令第36条の4)が2以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。

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