【1】制度規定

【建築基準法の基本がわかる】新3号特例(令和7年4月1日〜)

新3号特例

この解説では次の疑問に答えます!!

  • 新3号特例とは何か?
  • 新3号特例が適用できる建築物は?
  • 特例を適用できる規定は?
  • 令和7年4月1日の変更内容まとめ

新3号特例とは(概要)

新3号特例とは、建築確認申請において、設計士が設計した6条区分が新3号建築物の場合、一部の規定(特例対象規定)についての審査を省略することができる制度です。審査省略できるということは、確認申請の際に、特例対象規定の審査に要する図書も省略することができるいうことになります。(法第6条の4第1項第3号)

なお、検査(完了検査・中間検査)においても、特例対象規定は検査の省略をすることができます。(法第7条の5)

R7.4.1に6条区分が改正されました。改正前は4号建築物(旧4号建築物)の特例制度で、通称「4号特例」といわれていましたが、改正後は3号建築物(新3号建築物)に適用できる特例制度となりました。改正前後をわかりやすくするために、改正前の4号特例には「旧」をつけ「旧4号特例」とし、改正後は「新」をつけ「新3号特例」としています。(国交省でも同様に「旧4号特例」、「新3号特例」といい解説されています。)

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新3号特例が適用できる建築物

新3号特例が適用できる建築物は、6条区分が新3号建築物で、建築士が設計した建築物です。新3号建築物とは、具体的には、平屋(階数1)で延べ面積200m2以下の建築物です。(法第6条第1項第3号)

特例対象規定

特例の対象となる規定(特例対象規定)は、新3号建築物のなかでも、建築場所と建築物の用途により区分され、その区分により異なります。(令第10条第3号・第4号

令第10条の区分
令区分6条区分設計者建築場所
(防火・準防火地域)
その他の条件
令第10条第3号新3号建築物建築士防火地域・準防火地域以外の区域一戸建ての住宅
(※)
令第10条第4号新3号建築物建築士防火地域または準防火地域上記以外の建築物
(※) 住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が、延べ面積の1/2以上であるもの又は50m2を超えるものを除く。

法の特例対象規定(令第10条第3号イ、4号イ)
特定対象の規定(法)令第10条第3号の建築物令第10条第4号の建築物
第20条
第1項第4号イに係る部分に限る。
第21条
第22条
第23条
第24条
第25条
第26条
第27条
第28条第1項、第2項
第28条第3項、第4項
第29条
第30条
第31条第1項
第32条
第33条
第35条
第35条の2
第35条の3
第37条
第39条〜第41条
○:特例対象、ー:特例対象でない(=審査対象)

法の特例対象規定(令第10条第3号ロ、4号ロ)
特例対象の規定(令)令第10条第3号の建築物令第10条第4号の建築物
第2章
第20条の3第1節の3第32条第35条除く)
第20条の3
第3章
第8節除く、第80条の2ついては大臣が指定するもの((H19国交告第1119号))
第4章
第5章
第119条除く)
第119条
第5章の2
第5章の4
第129条の2の4第1項第6号・第7号除く)
第129条の2の4第1項第6号・第7号
第144条の3
○:特例対象、ー:特例対象でない(=審査対象)、(※):国道交通大臣が指定するもの(H19国交告第1119号)

構造耐力関係規定の特例

法第20条の構造(構造耐力)関係の規定については設計士が設計した全ての新3号建築物に適用できるわけではありません。構造方法(木造、鉄骨造またはそれ以外の特殊の構造方法の建築物)により次のいずれか条件を満たす必要がります。通称「仕様規定ルート」といわれるもので構造計算が不要なルートです。また、令第80条の2による特殊の構造方法については、一部の構造方法を適用する仕様規定ルートしか特例対象となりません。

構造方法特例対象となる条件
令第3章第3節〜第7節の構造方法法第20条第1項第4号イに関わる部分であること(仕様規定ルート)
令第80条の2による特殊の構造方法H19国交告第1119号第1〜第4に関わる部分であること
(プレストレストコンクリート造、WRC造、枠組み壁工法・木質プレハブ構造、アルミニウム号金造の仕様規定ルート)

新3号建築物(改正後)と旧4号建築物(改正前)の比較

改正前後での新3号特例(旧4号特例)を適用できる建築物の比較(=新3号建築物と旧4号建築物の比較)すると高さについては緩和されますが、階数・延べ面積については厳しくなります

国内の多くの木造2階建の戸建て住宅は、旧4号特例が適用を受けることができましたが、2階建の時点で新3号特例の適用ができなくなってしまいます。

新3号特例(旧4号特例)を適用できる建築物の比較
適用条件新3号建築物旧4号建築物比較
階数12厳しくなった
高さ16m以下高さ13m以下
かつ
軒高9m以下
緩和された
延べ面積200m2以下500m2以下厳しくなった

特定木造建築物の審査の合理化

6条区分の改正によって「国内の多くの木造2階建の戸建て住宅は、旧4号特例が適用を受けることができましたが、2階建の時点で新3号特例の適用ができなくなってしまいます。」では厳しすぎるということで、一部の構造図等を省略することができる規定が創設されました。(規則第1条の3)

適用できる建築物は次の表の特定木造建築物に該当建築物で、仕様表(チェックリストのようなもの)を添付することで一部の構造図等の添付を省略することができます。

特定木造建築物とは(規則第1条の3)
規模構造耐力の適用ルート
特定木造建築物①〜③の全てに該当
① 高さ16m以下
② 階数2以下
③ 延べ面積300m2以下
仕様規定ルート