【5】用語の定義

【わかりやすく解説】建築(法第2条第13号)

建築とは

「建築」の定義

建築は4種類にわけられます。

法第2条第13号に規定されています。

(用語の定義)法第2条第13号

 建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

大規模修繕・模様替え、用途変更は、建築ではありません。

あまり意識されていない方も多いと思いますが、大規模の修繕、大規模の模様替え、用途変更は建築ではありません。

大規模の修繕 ▶︎ 法第2条第14号

大規模の模様替 ▶︎ 法第2条第15条

用途変更 ▶︎ 法第87条

また、建築物の一部を除却する減築も建築ではありません。

もちろん大規模でない修繕・模様替えも建築ではありません。

新築・増築・改築・移転とは

建築である新築・増築・改築・移転については建築基準法では定義がありませんが、建築基準法の逐条解説では以下のように記載があります。

新築とは

「逐条解説 建築基準法」に解説があります。

「新築」とは、建築物の存在しない土地の部分(更地)に建築物を造ることなど、増築、改築及び移転のいずれにも該当しないものをいう。

逐条解説 建築基準法

増築とは

増築は、棟単位の増築か、敷地単位の増築かで扱いが異なります。

こちらも「逐条解説 建築基準法」に解説があります。

「増築」とは、1の敷地内にある既存の建築物の延べ面積を増加させること(面積を追加させること)をいう。別棟で造る場合には、単体規程に関しては新築、集団規定に関しては増築として扱われる。

逐条解説 建築基準法

「増築」は、敷地内に既存の建築が存在しているのが前提です。その上で、以下2つのケースにより「増築」「新築」の別が異なります。

  1. 既存の建築物の延べ面積を増加させる
  2. 既存の建築物とは離してで新たな棟を建築するのか
ケース棟単位敷地単位
増築増築
新築増築
棟単位で増築か新築か

棟単位で増築か新築かの判断はとても重要です。

棟単位で見たときに増築か新築かにより既存の建築物に対する規定の適用が異なります。実務においては棟単位での増築か新築かの扱いを間違って判断してしまっていると計画自体が破綻しかねません…。

改築とは

「改築」とは、建築物の全部または一部を除却し、またはこれらの部分が消失した後、引き続いて、これと用途、規模及び構造の著しく異ならないものを造ることをいい、増築、大規模の修繕等に該当しないものをいう。…

逐条解説 建築基準法

移転とは

こちらも「逐条解説 建築基準法」に解説があります。

「移転」とは、同一の敷地内の移転をいい、建築物を1つの敷地から他の敷地へ移す場合は、新しい敷地について新築又は増築として扱われる。…

逐条解説 建築基準法

敷地外へ移す(敷地外移転)場合は、原則、「移転」ではなく「新築」と扱います。

ただし、敷地外移転には例外があります。法第86条の7第4項により特定行政庁の許可を受けることで敷地外移転でも新築ではなく移転として扱うことができます。移転と扱えると緩和があります。

「建築」に関連する規定の例

建築する前には建築確認が必要

例外もありますが、建築工事する前には、原則、建築確認申請を行い、確認済証の交付を受けなければなりません。

法6条に規定されています。

また、建築工事が完了したら、完了検査を検査済証の交付を受けなければなりません。

例外

  1. 法第6条第1項第1号から第4号以外の建築物の建築
  2. 法第6条第1項第1号から第4号の建築物で、防火地域・準防火地域以外の10㎡以下の増築・改築・移転(新築以外の建築)

増築で既存不適格・既存遡及

建築基準法は毎年のように法改正があります。法改正で基準が厳しくなることがあります。そうすると、建築時の基準で建築物が改正後の基準に適合しなくなることがあります。このような状態を既存不適格といいます。

既存不適格建築物は、違反建築物ではありません。よって、原則、今の基準に適合するように改修するひつようはありません。法第3条第2項で規定されています。法改正があるたびに改修するのは非現実的です…。

(適用の除外)法第3条第2項

この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。

ただし、既存の建築物を増築・改築・移転(新築以外の建築)する場合については、法第3条第2項を適用できなくなります。(適用できなくなるということは、現行の規定が適用されるということです。)法第3条第3項第三号に規定されています。

(適用の除外)法第3条第2項

前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、適用しない。

第一号 …

第二号 …

第三号 工事の着手がこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の定の施行又は適用の後である増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替に係る建築物又はその敷地

増築等(増築・改築・移転、大規模修繕・模様替)には増築等の規模などにより規定の適用が緩和されます。令86条の7に規定されています。

まとめ

  1. 「建築」は「新築」「増築」「改築」「移転」
  2. 「増築」は敷地