ルート2主事と言われる建築主事が、ルート2で構造計算された建築物の審査を行う場合、建築確認申請で通常必要とされる構造適判を省略することができます。
今回は、このルート2主事について解説します。
ポイント
✔︎ 特定構造計算基準(特定増改築構造計算基準)を適用する建築物の確認申請については、原則、構造計算適合判定を申請しなければなりません。
✔︎ 【条件1】構造計算基準と【条件2】審査する者の2つの条件を満たす場合、構造計算適合性判定を省略することができる。
▶︎【条件1】特定構造計算基準(特定増改築構造計算基準)のうち審査が比較的容易な許容応力度等計算(ルート2)のうちH19国交告592号第1により安全性を有すること確かめる場合(ルート2基準)
▶︎【条件2】特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)が審査する場合
構造計算適合性判定
構造計算適合性判定(構造適判)については、以下の記事で解説しています。
構造適判の省略(ルート2主事制度)
法6条の3(構造計算適合性判定)の1項には「ただし書き」があります。この「ただし書き」によって特定構造計算基準(特定増改築構造計算基準)を適用する建築物の建築確認申請であっても、構造適判が省略できるけーすがあります。
通常「ルート2主事制度」と言います。
(構造計算適合性判定)
法第6条の3 建築主は、…構造計算適合性判定を受けなければならない。ただし、当該建築物の計画が特定構造計算基準(第20条第1項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分のうち確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)又は特定増改築構造計算基準(確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)に適合するかどうかを、構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する者として国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事が第6条第4項に規定する審査をする場合又は前条第1項の規定による指定を受けた者が当該国土交通省令で定める要件を備える者である第77条の24第1項の確認検査員に前条第1項の規定による確認のための審査をさせる場合は、この限りでない。
- 【条件1】
- 確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるもの
- ▶︎ 令9条の3
- ※通常、「ルート2基準」と言います。
- 【条件2】
- 国土交通省令で定める要件を備える者(=特定建築基準適合判定資格者)が審査
- ▶︎ 規則3条の13
- ※通常、「ルート2主事」と言います。
条件1と条件2を満たすということは、「ルート2基準」を「ルート2主事」が審査した場合、構造適判を省略することができる。ということです。
条件1について解
「確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるもの」は令9条の3に規定されています。
(確認審査が比較的容易にできる特定構造計算基準及び特定増改築構造計算基準)
令第9条の3 法第6条の3第1項ただし書の政令で定める特定構造計算基準及び特定増改築構造計算基準…は、第81条第2項第二号イに掲げる構造計算で、法第20条第1項第二号イに規定する方法によるものによって確かめられる安全性を有することとする。
※「法第20条第1項第二号イに規定する方法」▶︎ H19国交告592号第1
条件2について解説
「国土交通省令で定める要件を備える者」が規則3条の13に規定されています。
(構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する者等)
第3条の13 法第6条の3第1項ただし書の国土交通省令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当する者(以下「特定建築基準適合判定資格者」という。)であることとする。
一 建築士法第10条の3第4項に規定する構造設計一級建築士
二 法第77条の66第1項の登録を受けている者(以下「構造計算適合判定資格者」という。)
三 構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を習得させるための講習であつて、次条から第3条の16までの規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録特定建築基準適合判定資格者講習」という。)を修了した者
四 前三号に掲げる者のほか国土交通大臣が定める者
下記の①と②の要件を満たすことで特定構造計算基準(特定増改築構造計算基準)の審査を要するときでも構造適判の省略をすることができます。
① 許容応力度等計算(ルート2)で、法20条1項二号に規定する方法で安全性を確認したもの
② 特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)が審査
特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)は以下の①〜④の者
- ① 構造設計一級建築士
- ② 構造計算適合判定資格者(登録要)
- ③ 登録特定建築基準適合判定資格者講習を修了した者
- ④ 国土交通大臣が定める者
さいごに
構造適判を省略することのできるいわゆるルート2主事制度の解説でした。