★ 本記事では、「階段」の幅・蹴上・踏面の必要寸法について一般構造として求められる基準(令23条)を解説します。
階段の基準(概要)
階段の基準は一般構造としての階段の基準と避難上の階段の基準の2つに分けることができます。本解説は一般構造としての階段の幅などの必要な寸法についての解説です。一般構造としての階段の幅などの必要な寸法の基準を含めて法36条に基づき令23条〜令27条に規定されています。
- 階段の幅、蹴上、踏面の寸法(令23条)←本解説はこれ
- 踊り場の位置、直階段の踏面の寸法(令24条)
- 階段の手すり等(令25条)
- 階段に代わる傾斜路(令26条)
- 特殊の用途の階段(令27条)
なお、避難上の階段の基準については、法35条に基づき令120条〜124条に規定されています。(避難階段など)
原則 階段の幅、蹴上、踏面の寸法(令23条)
原則、用途や地上階、地下階などの条件(階段の種別)によって以下の表をとする必要があります。後述しますが、一部、緩和があります。
令第23条第1項の表の番号 | 階段の種別 | 幅 (踊場も同様) | 蹴上 | 踏面 |
---|---|---|---|---|
(1) | 小学校の児童用 | 140cm以上 | 16cm以下 | 26cm以上 |
(2) | ・中学校、高校、中等教育学校の生徒用 ・物販店(床面積1500m2超)、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の客用 | 140cm以上 | 18cm以下 | 26cm以上 |
(3) | ・直上階の居室の床面積が200m2超の地上階 ・居室の床面積が100m2超の地階、地下工作物内におけるもの | 120cm以上 | 20cm以下 | 24cm以上 |
(4) | 上記以外の階段 | 75cm以上 | 22cm以下 | 21cm以上 |
各寸法の取り方については以下の図のとおりです。下記の回り階段踏面の寸法の算定などは令第23条第2項、第3項に規定があります。
- 回り階段の踏面の寸法は、狭い方から30cmの位置で算定(令第23条第2項)
- 手すり等がついている場合の幅の寸法は、幅10cmまでないものとして算定(令第23条第3項)
緩和規定
緩和規定は3つあります。
- 緩和規定1:屋外階段の幅、住宅の蹴上、踏面(令第23条第1項ただし書)
- 緩和規定2:安全措置をすることによる緩和(令第23条第4項→H26国交告第709号)
- 緩和規定3:特殊用途の階段(令27条)
緩和規定① 屋外階段、住宅の階段
屋外階段、住宅の階段は、一部の寸法について、緩和があります。(令第23条第1項ただし書)
階段の種別 | 緩和基準 | |
---|---|---|
① | 屋外階段(令120条、令121条の直通階段) | 幅 90cm以上 |
② | 屋外階段(令120条、令121条の直通階段以外) | 幅 60cm以上 |
③ | 住宅の階段(共同住宅の共用部の階段除く) | 蹴上 23cm以上 踏面 15cm以上 |
上記の表以外の寸法は、原則の表の寸法が適用されます。また、上記の表の「屋外階段(令120条、令121条の直通階段)」については令第23条第1項(4)の階段幅は75cm以上なので緩和を適用しない方が幅を小さくすることができます。
緩和規定② 安全措置による緩和
階段の両側に手すりを設置するなどの安全措置をすることにより必要な寸法を緩和することができます。(令第23条第4項→H26国交告第709号)
安全措置の方法は2つあり、それぞれ用途や建築物に規模によって緩和できます。
安全措置の方法 | |
---|---|
安全措置① | ・両側手すり ・踏面表面の滑り止め措置 |
安全措置② (小規模建築物) | ・両側手すり ・踏面表面の滑り止め措置 ・昇降注意の表示 |
安全措置②は安全措置①に加え、昇降注意の表示の措置が必要で、かつ、建築物の規模の制限がります。
安全措置①の階段の緩和後の必要な寸法
階段の種別 | 幅 | 蹴上 | 踏面 |
---|---|---|---|
小学校の児童用 | 140cm以上 (緩和なし) | 16cm以下 → 18cm以下 | 26cm以上 (緩和なし) |
中学校、高校、中等教育学校の生徒用 | 140cm以上 (緩和なし) | 18cm以下 → 20cm以下 | 26cm以上 → 24cm以上 |
令第23条第1項表の(4)以外の階段 | 75cm以上 (緩和なし) | 22cm以下 →23cm以下 | 21cm以上 → 19cm以上 |
安全措置②(小規模建築物)の緩和後の必要な寸法
階段の種別 | 幅 | 蹴上 | 踏面 |
---|---|---|---|
階数2以下で延べ面積200m2未満の建築物の階段(小規模建築物) | 75cm以上 | 23cm以下 | 15cm以上 |
緩和規定③ 特殊用途の階段
昇降機機械室用階段などの特殊の用途に専用する階段は令第23条の幅・蹴上・踏面の寸法の基準の適用されません。(令第24条、令第25条の規定も適用がない)具体的には以下の階段が該当します。
- 昇降機機械室用階段
- 物見塔用階段
- 特殊用途の階段(図書館の書庫内の階段、避難ばしごなど)
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