用語の定義
条文を確認
建築基準法第2条第1号に規定されています。
(用語の定義)法2条
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
第1号 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
第2号〜第35号 略
条文を解説
法第2条第1号では、次の①〜⑤を建築物と定義しています。
- ① 土地に定着する工作物で屋根と柱または壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)
- ② ①に付属する門・塀
- ③ 観覧のための工作物
- ④ 地下・高架の工作物ない設ける事務所、店舗、興行場、倉庫、その他これらに類する
- ⑤ ①〜④に設ける建築設備
建築物かどうかが出発点
建築基準法は建築物に関する法律です。
法1条に示されています。
当たり前ですが建築基準法は建築物に関する法律です。
原則、建築物(建築物の敷地)でなければ建築基準法は適用されません。
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
前半部分に、建築物の敷地、構造、設備、用途に関する基準を定めるとあります。
よって、建築物でなければ建築基準法の規定の適用を受けません。
出発点である建築物かどうかの判断を誤ってしまうと後で取り返しのつかないことになります。現に裁判になっているケースもあります。
法1条は後半部分もとても重要です。後半部分についてはまた改めて解説します。
微妙なものは取り扱いが示されてることも
現在の時代においては、建築基準法ができた昭和25年では想定できない様々なものが開発され、利用されています。そういったものが建築物に該当するかどうかは上記の定義をもとに判断していくことになりますが、時には微妙なものもあります。
トレーラーハウス、電話ボックス、海の家、運動会のテント など
建築物かどうかの判断に迷う微妙なものについては、国交省や特定行政庁が法第2条の定義を基に技術的助言などの形式で取り扱いを示している場合もあります。
社会情勢や他法令との兼ね合いで建築物の定義を超越して判断される場合もあります…。
下記のような日本建築行政会議と言われる公に近い組織が編集している参考書でもまとめられています。
準用工作物にも注意
建築基準法は、原則、建築物に関する法律なのですが、建築物に該当しない工作物であっても、建築基準法の一部の規定が準用される工作物がありますので注意が必要です。
準用工作物と言われる工作物は建築物ではないけれど建築基準法の基準が適用されます。
いわゆる準用工作物です。法88条でどんな工作物がどの基準を準用するのかが規定されています。(詳ししくはあらためて解説します。)
高さ6m超の煙突 | 令138条1項一号 |
高さ15m超の鉄柱、木柱等 | 令138条1項二号 |
高さ4m超の広告塔、記念塔等 | 令138条1項三号 |
高さ8m超の高架水槽・物見塔等 | 令138条1項四号 |
高さ2m超の擁壁 | 令138条1項五号 |
昇降機、ウオーターシユート、飛行塔その他これらに類する工作物 | 令138条2項 |
製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物 | 令138条3項 |
具体的に準用される規定はここでは割愛します。
さいごに
過去には建築物になるかならないかで国(旧建設省)の見解が裁判で否定されたこともありました。その結果を受けても建設省は自分達が正しいとし法改正まで行いました。(ここには条文を趣旨論で解釈するのか条文に書かれていることだけで解釈するのかといった法解釈論の問題も隠れているのですが…)建築物になるかならないか(=建築基準法の制限を受けるか受けないか)によって事業者にとっては天と地ほどの差が生じることもあります。そういった意味でも慎重に判断していく必要があります。
私が参考にしている本
私がいつも参考にしている本です。表や図が多くわかりやすい内容ですが建築基準法に不慣れな方にとってはまだまだ専門用語が多く理解に苦しむ方も多いと思います。もちろん私もその一人です。本サイトがそういった方に建築基準法やこれらの参考書との架け橋としての役割を担っていけば幸いです(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ペコ