本記事は界壁の遮音に関するの条文(法30条など)の読解に特化した解説です。界壁(遮音・防火)の基本を理解したい方は下の解説を合わせてご覧ください。

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法30条
法30条1項に衛生上(遮音)に関する界壁の基準が定められています。第2項には、1項2号の緩和措置が定められています。
建築基準法
(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
第30条 ①長屋 又は ②共同住宅の各戸の界壁は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
第一号 その構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準(→令第22条の3,1項)に適合するもので、①国土交通大臣が定めた構造方法(→S45建告1172号第1、第2)を用いるもの 又は ②国土交通大臣の認定を受けたものであること。
第二号 ①小屋裏 又は ②天井裏に達するものであること。
第2項 前項第二号の規定は、①長屋 又は ②共同住宅の天井の構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために天井に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準(→令第22条の3,2項)に適合するもので、①国土交通大臣が定めた構造方法(→S45建告1172号第3)を用いるもの 又は ②国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、適用しない。
令第22条の3
法第30条に基づき令第22条の3に遮音性能に関する技術的基準が定められています。
第22条の3 法第30条第1項第一号(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次の表の上欄に掲げる振動数の音に対する透過損失がそれぞれ同表の下欄に掲げる数値以上であることとする。
振動数(単位 ヘルツ) | 透過損失(単位 デシベル) |
---|---|
125 | 25 |
500 | 40 |
2,000 | 50 |
第2項 法第30条第2項(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、前項(=令第22条の3)に規定する基準とする。
S45建告1172号
法30条1項に基づきS45建告1827号第1、第2に界壁の構造方法が定められています。また、法30条2項に基づきS45建告1827号第3に天井の構造方法が定められています。
昭和45年12月28日 建設省告示第1827号
遮音性能を有する長屋又は共同住宅の界壁の構造方法を定める件
第1 下地等を有しない界壁の構造方法
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第22条の3第1項に規定する技術的基準に適合する間柱及び胴縁その他の下地(堅固な構造としたものに限る。以下「下地等」という。)を有しない界壁の構造方法は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
第一号 ①鉄筋コンクリート造、②鉄骨鉄筋コンクリート造 又は ③鉄骨コンクリート造 で厚さが10cm以上のもの
第二号 ①コンクリートブロック造、②無筋コンクリート造、③れんが造 又は ④石造で ①肉厚 及び ②仕上げ材料の厚さの合計が10cm以上のもの
第三号 土蔵造で厚さが15cm以上のもの
第四号 厚さが10cm以上の気泡コンクリートの両面に厚さが1.5cm以上の ①モルタル、②プラスター 又は ③しっくいを塗つたもの
第五号 肉厚が5cm以上の軽量コンクリートブロックの両面に厚さが1.5cm以上の ①モルタル、②プラスター 又は ③しっくいを塗つたもの
第六号 厚さが8cm以上の木片セメント板(かさ比重が0.6以上のものに限る。)の両面に厚さが1.5cm以上の ①モルタル、②プラスター 又は ③しっくいを塗つたもの
第七号 鉄筋コンクリート製パネルで厚さが4cm以上のもの(1m2当たりの質量が110kg以上のものに限る。)の両面に木製パネル(1m2当たりの質量が5kg以上のものに限る。)を堅固に取り付けたもの
第八号 厚さが7cm以上の土塗真壁造(真壁の四周に空隙のないものに限る。)
第2 下地等を有する界壁の構造方法
令第22条の3第1項に規定する技術的基準に適合する下地等を有する界壁の構造方法は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
第一号 下地等の両面を次のイからニまでのいずれかに該当する仕上げとした厚さが13cm以上の大壁造であるもの
イ ①鉄網モルタル塗 又は ②木ずりしつくい塗 で塗厚さが2cm以上のもの
ロ ①木毛セメント板張 又は ②せつこうボード張 の上に厚さ1.5cm以上のモルタル又はしつくいを塗つたもの
ハ モルタル塗の上にタイルを張つたものでその厚さの合計が2.5cm以上のもの
ニ ①セメント板張 又は ②瓦張 の上にモルタルを塗つたものでその厚さの合計が2.5cm以上のもの
第二号 次の イ 及び ロ に該当するもの
イ 界壁の厚さ(仕上材料の厚さを含まないものとする。)が10cm以上であり、その内部に厚さが2.5cm以上の ①グラスウール(かさ比重が0.02以上のものに限る。)又は ②ロックウール(かさ比重が0.04以上のものに限る。)を張つたもの
ロ 界壁の両面を次の(1) 又は (2) のいずれかに該当する仕上材料で覆つたもの
(1) ①厚さが1.2cm以上のせつこうボード、②厚さが2.5cm以上の岩綿保温板 又は ③厚さが1.8cm以上の木毛セメント板の上に厚さが0.09cm以上の亜鉛めつき鋼板を張つたもの
(2) 厚さが1.2cm以上のせつこうボードを2枚以上張つたもの
第3 天井の構造方法
令第22条の3第2項に規定する技術的基準に適合する天井の構造方法は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
第一号 厚さが0.95cm以上のせつこうボード(その裏側に厚さが10cm以上のグラスウール(かさ比重が0.016以上のものに限る。)又はロックウール(かさ比重が0.03以上のものに限る。)を設けたものに限る。)とすること
第二号 平成28年国土交通省告示第694号に定める構造方法(開口部を設ける場合にあつては、当該開口部が遮音上有効な構造であるものに限る。)
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