【6】構造設計の基本

【構造設計の基本がわかる】有効細長比とは?

有効細長比の定義

有効細長比は、部材の座屈のしやすさ(しにくさ)を表す数値で、次のように定義される。

有効細長比:λ(ラムダ)

  • 部材の最小の断面2次半径(i)に対する座屈長さ(lk)の比

式で表すと次のとおり。

λ = lk / 最小の i

  • lk:座屈長さ(mm)
  • i :断面2次半径(mm)

有効細長比は、λ(ラムダ)で表され、単位はない(無次元)。

座屈長さ

座屈長さは、lk(エルケー)であらわれ、部材の長さと部材の境界条件によって決まる。長いほど(数値が大きい)座屈がしやすい。例えば、境界条件について移動の条件が拘束で回転の条件が自由であれば、部材の長さが座屈長さとなる。

断面2次半径

断面2次半径は、i(アイ)で表され断面の形状によって決まる数値。次の式で表される。

i=√(I/A)

  • I:断面2次モーメント(mm3
  • A:断面積(mm2

有効細長比を求める際は、最小の断面2次半径なので、例えばH形鋼であれば弱軸方向の断面2次モーメントで求めた断面2次半径。

有効細長比のポイント

  • 有効細長比は数値が大きいほど座屈しやすいため、できるだけ小さな数値にすることが望ましい。
  • 部材の長さ端部の境界条件断面積・断面形状によって変わる。部材の材料・強度には影響しない。
  • 座屈長さ(分母)については、部材が長くなる、端部の境界条件が不利になると大きな数値になってしまう。分母が大きくなるということは、有効細長比が大きくなってしまう。
  • 断面2次半径(分子)については、部材の断面積が小さいなどの断面の性能が低いと小さな数値になってしまい、有効細長比が大きくなってしまう。

有効細長比の制限

有効細長比は、数値が大きいほど座屈しやすいため、建築基準法の仕様規定で、部材の座屈を防止するために、木造の柱(令第43条第6項)や鉄骨造の圧縮材(令第65条)について上限値が制限されている。また、鉄骨造の保有水平耐力計算(ルート3)において、Ds算定時に必要な筋かいの種別を判定する時に有効細長比が用いられる。

令第43条第6項150以下とすること
令第65条圧縮材柱 200以下とすること
柱以外 250以下とすること