3つの強度
建築基準法では、構造計算する上で必要な材料の強度は許容応力度、材料強度、基準強度の3つ。
- 許容応力度(令第90条):許容応力度計算などの構造計算で用いられる強度(短期と長期がある)
- 材料強度(令第96条):限界耐力計算、保有水平耐力計算などで用いられる強度
- 基準強度(H12建告2464号第1):鋼材の種類、品質に応じて定めれる強度で、許容応力度・材料強度の基準となる強度
許容応力度・材料強度は、基準強度をもとに圧縮・引張り・曲げ・せん断の4つの種類の力定められている。
※ H12建告2464号第1で示されていない構造用鋼材については、法第37条第2号に基づき指定建築材料の大臣認定を受け、基準強度が指定されている。
各強度と鋼材の応力-ひずみ曲線との関係
次の図は、鋼材を引張試験した際の、応力とひずみの関係を表したもの。弾性域は、応力ひずみの関係は比例関係にある。その際の傾きをヤング率といい、鋼材では、種類や強度によらず一定の値。
- 弾性域は、応力ひずみの関係は比例関係にある。その際の傾きをヤング率といい、鋼材では、種類や強度によらず一定の値。
- 弾性域では、鋼材は応力を0にする(引っ張るのをやめる)と原則、元の状態に戻るが、その弾性域を超えて応力を加え続ける(引っ張り続ける)と、弾性限界を超え塑性域に入る。
応力ひずみ曲線に基準強度、長期・短期許容応力度、材料強度を入れてみる。
- 弾性域を少し超えた上降伏点(降伏点)が構造用鋼材の基準強度。
- 基準強度を基に基準強度を1.5で割った値が圧縮・引張り・曲げの長期許容応力度で、1.5√3で割った値がせん断の長期許容応力度(令第89条)
- 長期許容応力度を1.5倍した値が短期許容応力度(結果として、圧縮・引張・曲げは基準強度と同じ値)(令第89条)
400N級の構造用鋼材(SS400、SN400B、SNR400B、STKR400など)の具体的な数値を入れてみる。
- 引張強さは400N/mm2 。
- 基準強度、材料強度、短期許容応力度は同じ値で上降伏点である235N/mm2(せん断は除く圧縮・引張り・曲げ)。
- 長期許容応力度は短期許容応力度を2/3倍した値で156N/mm2(せん断は除く圧縮・引張り・曲げ)。
- せん断力の材料強度、短期許容応力度、長期許容応力度は、圧縮・引張り・曲げの値を√3で割った値。