【6】構造設計の基本

【構造設計の基本がわかる】鋼材の許容応力度・材料強度・基準強度

3つの強度

建築基準法では、構造計算する上で必要な材料の強度は許容応力度材料強度基準強度の3つ。

  • 許容応力度(令第90条):許容応力度計算などの構造計算で用いられる強度(短期と長期がある)
  • 材料強度(令第96条):限界耐力計算、保有水平耐力計算などで用いられる強度
  • 基準強度(H12建告2464号第1):鋼材の種類、品質に応じて定めれる強度で、許容応力度・材料強度の基準となる強度

許容応力度・材料強度は、基準強度をもとに圧縮・引張り・曲げ・せん断の4つの種類の力定められている。

※ H12建告2464号第1で示されていない構造用鋼材については、法第37条第2号に基づき指定建築材料の大臣認定を受け、基準強度が指定されている。

各強度と鋼材の応力-ひずみ曲線との関係

次の図は、鋼材を引張試験した際の、応力とひずみの関係を表したもの。弾性域は、応力ひずみの関係は比例関係にある。その際の傾きをヤング率といい、鋼材では、種類や強度によらず一定の値。

  • 弾性域は、応力ひずみの関係は比例関係にある。その際の傾きをヤング率といい、鋼材では、種類や強度によらず一定の値。
  • 弾性域では、鋼材は応力を0にする(引っ張るのをやめる)と原則、元の状態に戻るが、その弾性域を超えて応力を加え続ける(引っ張り続ける)と、弾性限界を超え塑性域に入る。

応力ひずみ曲線に基準強度、長期・短期許容応力度、材料強度を入れてみる。

構造用鋼材の応力ひずみ曲線(基準強度、材料強度、長期許容応力度、短期許容応力度)
  • 弾性域を少し超えた上降伏点(降伏点)が構造用鋼材の基準強度
  • 基準強度を基に基準強度を1.5で割った値が圧縮・引張り・曲げの長期許容応力度で、1.5√3で割った値がせん断の長期許容応力度(令第89条)
  • 長期許容応力度を1.5倍した値が短期許容応力度(結果として、圧縮・引張・曲げは基準強度と同じ値)(令第89条)

400N級の構造用鋼材(SS400、SN400B、SNR400B、STKR400など)の具体的な数値を入れてみる。

構造用鋼材の応力ひずみ曲線(基準強度、材料強度、長期許容応力度、短期許容応力度)400N級
  • 引張強さは400N/mm2
  • 基準強度、材料強度、短期許容応力度は同じ値で上降伏点である235N/mm2(せん断は除く圧縮・引張り・曲げ)。
  • 長期許容応力度は短期許容応力度を2/3倍した値で156N/mm2(せん断は除く圧縮・引張り・曲げ)。
  • せん断力の材料強度、短期許容応力度、長期許容応力度は、圧縮・引張り・曲げの値を√3で割った値。